塵芥拾

ぽっと思いついたことを書いています。

his

『his』(2020年)

監督:今泉力哉

主演:宮沢氷魚、藤原季節

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 数日前に観に行きました。今泉監督は、昨年公開された『愛がなんだ』で知りました。遅いですがそれ以来注目していた監督で、本作品を観ようと思いました。

 

 

 分類するとすればLGBTQ映画となるのでしょうが、幅広い人々に刺さる映画になっていたと思います。シングルファーザーは子育てができないのか、女性が仕事のキャリアと子育てを両立させることは出来るのか、そういった偏見とどう向き合うのかという部分もありました。

 

 迅が「どうせ世界に認められないからと僕も世界に対し心を開いていなかった」という旨の発言をしており、実際自身がゲイであることを隠すことで共同体に所属していました。(会社であったり、村であったり)また渚は「ゲイである自分に子供ができると思っていなかったので、子供ができて嬉しかった」や「子供や妻を持つことで世間から男として認められたと思い嬉しかった」という旨の発言をしており、こちらも共同体への所属を願っており、それはゲイであることを隠すことにより得られるものでした。これは多くの人が抱える問題だと思います。

 

 

 この映画ではそんなある種の諦めを抱えた二人が再び愛を確かめ合う映画である一方、社会にどう心を開き、共同体に帰属していくのかを描いた映画と言えます。

 とこのような内容は公式HPにも書いてありましたが,,,,,,。

 

 

 今泉監督はとても日本的な映画を作る人だとつくづく感じました。特に最後の迅渚玲奈空の四人で遊んでいる場面でそう感じました。静かながら四人の関係性や想いが伝わってくる雄弁な場面でした。また日本的とは関係ないですが印象的な場面として、美里が迅に告白した後、渚がやってきて空を車から出そうとする場面があります。あまり見ない構図でしたが、三人の間の微妙な空気感が伝わってきてよかったです。

 

 

俳優についてですが恥ずかしながら宮沢氷魚さんを初めて拝見したのですが、なんとなくモデル出身の俳優さんの匂いがしました。それでWikipediaで調べたところそうっぽいですね。モデル出身の俳優と演劇出身の俳優は、演技に違いがあると個人的には考えています。誤解を承知で言わせていただくと日本映画にはモデル出身の俳優が合っていると感じています。昨今不倫のせいもあり、モデル出身の東出昌大が大根役者などと叩かれていますが的外れな批判だと思います。このモデル出身の俳優についてはまたいつか語れたらと思います。

 

 

ながながと中身のない感想を述べてきましたが、良い映画でしたので機会があればぜひ。